日々、顧客とのやりとりで気を遣うことも多いのではないでしょうか。
時には無理難題を言われたり、突然の変更を求められたりして、頭を抱えることもあるかもしれません。
そんなとき、「お客様だから」となんでも受け入れてしまう必要はありません。
大切なのは、顧客と対等な関係を築くことです。
トラブルはなぜ起こる?
食品業界では特に、納期や数量、配送場所といった点で予期せぬトラブルが起こりがちですよね。注文書を交わした後に
「やっぱりキャンセルで」なんて言われたら、「えっ、今さら?」と困ってしまうこともきっとあると思います。
もちろん、顧客の要望にできる限り応えたい気持ちは誰よりも晴敏さんが持っていると信じています。
ですが、なんでもかんでも「はい、わかりました」と引き受けてしまうと、どうなるでしょうか。
なぜ対等な関係が大切なのか
顧客との関係が対等でないと、知らず知らずのうちに自社の利益を損ねてしまうことにつながります。
例えば、原材料費が高騰しているのに「今までの価格で納品してよ」と言われたとします。「顧客に嫌われたくない」
「次も取引してもらいたい」という気持ちから、交渉することなく承諾してしまうと、どうでしょう。
利益が減ってしまい、最悪の場合、赤字になってしまうこともあり得ます。そうなると、商品の品質を維持できなくなったり、
従業員のお給料を上げられなくなったりと、経営に悪影響が出てしまいます。
赤字で事業をやる意味はありません。
顧客との良好な関係を続けるためには、お互いが納得できる落としどころを見つけることが大切です。
「お客様は神様」という言葉がありますが、それは「神様のように敬う」という意味であり、
「なんでも言うことを聞く」という意味ではないのです。
交渉は会社の未来を守ること
「交渉」と聞くと、なんだか難しく聞こえるかもしれませんが、要は「話し合い」です。
自社の現状や、なぜ要望に応えられないのかを丁寧に、誠実に伝えることです。「無理です」と突っぱねるのではなく、
「御社の要望にお応えしたいのですが、現状、この条件では難しい状況です。代わりに、こういう方法はいかがでしょうか?」と
代替案を提案してみるのです。
そうすることで、顧客も「この会社は、ちゃんとこちらのことを考えてくれているんだな」と信頼してくれるはずです。
「ただ値下げを要求するだけの顧客」ではなく、「お互いの成長を喜べるパートナー」になっていくことが理想的です。
顧客との対等な関係がもたらすメリット
対等な関係を築くことは、単に会社の利益を守るだけでなく、多くのメリットを生み出します。
まず、長期的な取引につながるという点です。無理な要求を飲まないことで、お互いに無理のない、
持続可能な関係を築くことができます。無理を重ねた関係は、どこかで破綻してしまうものです。
次に、新しいビジネスチャンスが生まれる可能性があります。対等な立場で話し合うことで、
顧客が抱えている本当の課題やニーズが見えてくることがあります。「こんな商品があったらいいのに」
「こんなサービスはできないだろうか」といった本音を引き出し、共同で新商品を開発したり、
新しい販路を開拓したりといった発展的な話につながるかもしれません。
さらに、会社の信頼度が向上するというメリットもあります。毅然とした態度で、自社の品質や利益を守ろうとする姿勢は、
「この会社はしっかりしている」という信頼感につながります。それは、顧客だけでなく、従業員や取引先、金融機関など、
すべてのステークホルダーからの評価を高めることになります。
相手に寄り添いながらも、引くべき一線は引く
「対等な関係」とは言っても、ただ主張をぶつけ合うことではありません。大切なのは、相手の立場や状況を理解しようと
努める姿勢です。
例えば、顧客が納期の前倒しを求めてきたとします。そのとき、「無理です」と一言で終わらせるのではなく、
「なぜ急いでいらっしゃるのですか?何かお困りごとがありますか?」と尋ねてみましょう。
もしかしたら、顧客の店舗で大きなイベントが予定されているのかもしれません。事情を理解した上で、「通常納期は厳しいですが、
この分量であれば何とか対応できます」とか、「一部先行して納品するのはいかがですか?」といったように、
妥協案や代替案を提示するのです。
このように、相手に寄り添いながらも、自社のリソースや利益を冷静に判断し、引くべき一線はしっかり引く。
このバランス感覚こそが、社長に求められる交渉力です。
自社の利益を確保するための心得
1. 契約内容を明確にする 事前に契約書や発注書で納期、数量、価格、支払い条件などをしっかりと決めておくことが重要です。
「口約束」にせず、書面で残しましょう。
2. できないことは正直に伝える できないことを無理に引き受けてしまうと、かえって信用を失うことにつながります。
「なぜできないのか」を具体的に説明することで、理解を得られやすくなります。
3. 代替案を提示する 要望にそのまま応えられなくても、「こういう方法なら可能ですよ」と別の選択肢を提示することで、
「一緒に解決策を探してくれる会社」という印象を与えることができます。
4. 会社の代表である自覚を持つ 晴敏さんがお客様と接するときは会社の顔です。「自分の判断」が会社の利益を左右することを
常に意識しておきましょう。
5. 毅然とした態度で 横柄になる必要はありませんが、無理難題に対しては毅然とした態度で臨むことも大切です。
「この会社の社長は筋が通っているな」と思ってもらえれば、それが信頼につながります。
まとめ
顧客に遠慮することなく、会社の代表として交渉することは、会社の利益を守るだけでなく、
顧客とのより良い関係を築くことにもつながります。
「お互いが気持ちよく取引できるにはどうしたらいいだろうか?」
この視点を持つことで、顧客は単なる取引先ではなく、かけがえのないパートナーへと変わっていくはずです。
顧客と対等な立場で良好な関係を築き、ますます発展していくことを心から応援しています。
このブログが、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
● 顧問契約をご検討中の企業さまへ
貴社の商品に合った販路開拓戦略をご提案し、営業の動き方までサポートします。
● セミナーを企画中の支援機関・団体さまへ
展示会営業や販路づくりをテーマに、全国各地で講演実績があります。
● メディア・取材ご担当者さまへ
中小企業の営業現場を事例とともに紹介できます。ご相談はお気軽に。
